常念岳【北アルプス】|関西圏外初登山、憧れのアルプストレッキング
2017年10月7、8、9日
ここで私が語らずもがな、山渓他、トレッキング系雑誌がこぞって夏前に組むアルプス特集で必ず名前の挙がるお山です。
スケジュールは7日夜に家を出発、8日早朝より登り出し夕方に下りてきて、塩尻市内で1泊。翌9日は松本観光と帰宅です。
比率は山6:観光4です。観光構成高いな。
山登りを始めて来月で1年という区切りのタイミングでなんかしとこうとなったのが事の発端。
まさか飲み屋で仕事の愚痴をこぼしながら、
私「次の休みどっかいかん?」
相棒「買い物?」
私「いや、デトックスしにどっか。疲れた」
相棒「温泉?外?アウトドア系?」
私「あー、アウトドアええな」
相棒「キャンプ?」
私「道具ないやん。山は?」
相棒「それ楽しい?」
私「遠足で生駒いかんかった?スニーカーでいけるし、はい、決まり」
所要時間30秒。
私と相棒は地元が東大阪でこのあたりの人間は小学性の頃、たいがい生駒山に登っています。遠足然り、ファミリーハイク然り。
あの日、あの時、あの場所で、
ゆるっとこぼしたのが急成長してまさか関西から出て、山のために長野まで車を走らせるとは。人生とは簡単に右にも左にも転がるくらい不安定な形をしているようです。
常念岳を選んだ理由としては、
①1日で往復できる
②危険個所がない
③日本100名山だから
夜10時半に出発して、3時間で神楽サービスエリア。
こんな時間だからトラックの運ちゃんくらいかと思ったら同じ思惑の人がたくさんいました。目指す山頂は違えど、みんなこれからアルプスを歩きにいく人達でしょう。トイレ休憩、自販機前でコーヒーとタバコ、車中泊、他。
すれ違う時に会釈しそうになります。空気感はすでに山の中。
5:35
5時前に一ノ沢駐車場に到着し、軽く仮眠をとり歩きだします。ヘッデンはなしです。すでに路肩まで車があふれています。
おそるべしアルプスなのか、おそるべし3連休なのか。
5:56
登山口に着く頃にはすっかり明るくなっていました。登山届の提出、トイレ、朝ごはん、レイヤリングの調整など各々の時間。私と相棒はストレッチを入念に。怪我防止がもちろんですが、完全に目の前の底知れぬ世界にビビってるんですよ。
6:06
大した数の山に登った訳じゃありませんが、今までの山とあきらかに違います。空気感に近いけど、うまく説明出来ないなにかです。おー、おーー、おおーー!と語彙力の無さを露呈しながら歩いていきます。
6:17
安全祈願。いつも顔が地面に刺さりそうなくらい猫背な相棒の背筋のこの伸び方。神頼みの本気度が違います。
まだ数十分なのにアルプスの全てを知ってしまったかのような充実感です。
せっかくきたし、それっぽいものを。
7:09
最初の休憩ポイントとなる大滝ですが、決して広くはありません。先にも休憩できるところがあるのはリサーチ済みなのでここはスルーしてそちらに向かいます。
みなさんここで小休止されていました。定番ゾーンなのでしょうか?軽く水分補給だけして歩きだします。日帰りな上、初めての時間と距離で見えない部分が多いので巻けるだけ巻いておけ作戦です。
いよいよ雲を越えてきました。
8:42
これまで登った最高標高は奈良の八経ヶ岳で1915m。関西にはこれ以上の高さの山がありません。それをアルプスはこんな途中で悠々と超えてきます。アルプス怖い。
この時点ではまだまだ体力的にご機嫌な相棒。これが彼の最後の笑顔です。
しっかり舗装されていて危ないと感じるところはありませんが、踏み外せばただではすみません。
9:04
最終水場に到着。とりあえず空になったペットボトル全てに水を入れておきます。
今思えば、備えあれば憂いなしの言葉がひとりで走り回っていて、ただただ荷物でした。下山したときにはかなり余ってたし。
そしてここ。ここが相棒にとっての地獄の入口となりました。
あと800mとこの場ではもう少しという希望をもらいますが、これがまーキツい。
日頃の運動不足と寝不足のダブルパンチで100から5に言葉数が減ります。いや、もはや0。
理想の夫婦で有名なイクメンパパが不倫現場を週刊誌に押さえられた時の取材の断り方のお手本です。胸に手をあてちょっとでも心当たりのある人は今のうちに練習しておいて下さい。手の角度がポイントです。
たいする私は相棒とは逆にマウンテンズハイなのか、助走して飛び出しそうなくらい身軽です。
9:43
心の準備のないまま、どーんと急にきました。真ん中のとんがり。アレが槍ヶ岳です。
うちの2歳の子供と同じでただただ大きい声を出していました。
ま、うまいもん食ってるときはただうまいもん、可愛い女の子みたら単純に可愛いし。
間違っちゃいません。
雑誌やなんやで何十回も色んな角度、季節の槍ヶ岳を見てきましたが、実物に勝るものなしです。雄大。
カメラの寿命を数年分削ったであろうシャッターを切りましたが、ここに全部載せてたら進まないので割愛します。
お昼はカップヌードルのチリトマト味。あとおにぎり2つです。
カップヌードルの容器がパンパンでしたが、写真撮り忘れました。
はじめてのことは単純なことでもわくわくします。
お腹を満たしたら重い腰をあげていよいよ山頂を目指します。
槍見て感動して、終わった感が出てましたけどここは山頂じゃありません。常念乗越というところでそばに常念小屋があります。
常念岳の山頂はここから岩の足元を400mほどアップした先です。ゆうにハイキング程度の道のりはまだあるということです。
11:07
浮石も多いので注意しながら進みます。
振り返れば常念小屋が小さい。
しんどいと景色やばいの飴と鞭の無限ループ状態の相棒。この瞬間は“景色やばい”の方です。
山頂と思ったらまだ奥に先があるっていう山あるあるです。山頂は見えてない方がいい。見えてるとやたら遠くに感じて疲労感がもれなく5割増になります。そしてここで周り方をみて学んだのはアタックザックを用意して来ることです。大半の方が小屋に荷物をデポしていました。スピード感がまるで違います。やはり経験と情報は大事です。
12:18
常念岳山頂に到着です。2857mの頂きです。日本で45番目に高い山です。
この達成感のせいで登山にハマってしまったと1年前のことを思い出します。
なぜに人は山に登るのか?という禅問答みたいのがありますが、私に限ってはこの達成感のためというのが大部分をしめているとおもいます。
小さい頃はアレやってコレやって、いろいろな“出来た”が多かったですが、歳を重ねることに初めてのことやチャレンジすることが減って達成感を味わう機会が減る中で私にとって登山はそれを感じられる数少ないツールです。
ダブルピースはもはや公然の前では御法度な気もしますが、アルプスの山頂だけは法的に問題ありません。
いつかは見えてる全部を歩き尽くすつもりです。あくまでもつもり。
景色と天気良すぎて離れられない件。日帰りにしたことをふたりで凄く後悔したのはいうまでもありません。もっとゆっくりしたかったし、この天気だと星もきっと綺麗でしょう。
初めてのアルプス計画を立てている方には小屋で1泊することを強く強くオススメします。
常念小屋で400円のソフトクリームをゲット。
外に出た瞬間崩れそうになったので、一口かぶりついた後です。
13:56
そろそろ降りないと途中で暗くなってしまいそうなので、後ろ髪をつかまれつつも下山開始です。次は必ず泊まりで来ます。
登山口に戻った時はまだ明るかったのに駐車場に着いた頃には真っ暗でした。もう少しでヘッデンを出さないといけないとこです。エアリアのほぼ時間通りで3時間ほど。
車で一息ついて、予約していた塩尻のホテルまでの車では2人とも感動より疲れが完全に上回っていました。あと眠たい。
ホテルに着いて飯食って風呂入って部屋に戻った瞬間におちました。10時間睡眠で圧倒的回復です。
翌日は長野観光。この日も天気が良くってふたりで日頃の行いを誉め合っていました。
松本城の重厚感すごい。
リフォームしまくった大阪城とは違うな。
ラッキーなことにそば祭りという松本城内で催し物をやっていてここでお昼にお蕎麦を食べることが出来ました。もともと信州といったら蕎麦ということでお店探す予定だったので手間が省けました。ごちそうさまです。
?
松本城横の縄手通り商店街。
カエルとかカメレオンとか爬虫類推し?縄手地域のなにか縁でしょうか?
ブロイラーと猫とは何か意図的なものを感じる。
少し時間に余裕があったので、旧開智学校に寄りました。
圧倒的優雅さ。
旧開智学校に限ってじゃなく、人気(ひとけ)のなくなった学校のこの独特の雰囲気の居心地の良さは異常です。
こんな学校だったら掃除の時間さえ楽しかったのでしょうか?
いや、子供にとっちゃ関係ないか。
登山を終えて
いままで登った1番高い山が奈良の八経ヶ岳の1900m。それを一気に1000m近く更新した今回の登山。私の敬愛する上村直己さんが高さや難易度に関係なく、どこの山でもその人の心に残ればそれでいいと言った有名な言葉があります。私もそう思うのですが、やはりアルプスは別格でした。
高さがあればそれだけ距離ものびて山頂にたどり着くまでは大変で、その分のそこにたどり着いたときに見る景色や達成感はそれはもう違う次元でした。
シーズンになればどの雑誌でも特集が組まれ、みんなが何度も何度も訪れる理由がわかります。
今回ハッキリしたのは今の時代、写真を見てから実物を見ると思っていた程の感動を得られないことが多くありますが、ここは写真より肉眼の方が数百倍も綺麗にみえるということです。反省点としては1泊で予定を組むことでした。日帰りでせかせかするのは違う気がします。もちろん人によりますが。
アルプスに行こうか悩んでいる人は思いきって行ってください。必ず行ってよかったと思える登山になります。
おしまい